出産前夜の不安
出産の予定日が近づいてきた頃、私は次第に不安が高まっていった。初めての出産に臨むこと自体が緊張の種だったが、本当に赤ちゃんが無事に産まれてくるのだろうかという不安が拭えなかった。
妊娠中は何らかのトラブルに見舞われることなく、順調に9ヶ月を過ごせた。しかし出産はそれとはまた別の痛みを伴うと聞いており、恐ろしく思えてならなかった。
出産当日の朝、陣痛が少しずつ始まった。それでも予定より遅れ気味だったので、一日経っても別に入院はしなかった。陣痛の痛みは次第に強まっていき、夫と二人で最初の夜を過ごした。
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その夜が明けると、いよいよ病院に向かう時間となる。最後の自宅での夜を、不安と恐怖におびえながら過ごしたことを覚えている。夫に手を握られ「大丈夫だよ、君なら産めるから」と言われたが、なかなか不安は拭えなかった。
分娩室での耐え難い陣痛
翌朝、つわりがいよいよ強まってきたので、夫に運転を頼んで病院に向かった。受付で手続きを済ませ、分娩室へと案内された。ベッドに横たわり、次々と訪れる陣痛に苦しみながら時間が過ぎていった。
最初の頃は夫の励ましに力をもらい、がまんの時間を重ねた。しかし陣痛の痛みがますます激しくなるにつれ、もはや私一人の力では限界が来てしまった。
時折、スタッフから分娩の進行状況を聞かされるが、それどころではない程に痛みに悶えていた。時間の感覚も無くなる程、つらい思いをした。そんな時、夫の声援が私の力になった。
夫の力強い声援
最後の最後で、もう限界が来たと嗚咽しながら頼んだ。
「頼む、助けて…この痛みが、もうたまらないよ」
その時、夫が力強く声援を送ってきた。
「頑張れ!もう少しだけ頑張れば、赤ちゃんに会えるんだ!」
夫は私の手を強く握り、そう声を荒げた。私の耳に届いたのは、優しい励ましの声ではなく、力強い声援の響きだった。
それが何か私の心に火がついた。まるで最後の力が湧き上がってきたようだった。そして思い切り力を振り絞り、一生懸命に息を止め、力んだ。
すると突如、赤ちゃんの産声が部屋に響きわたった。夫の周りにいたスタッフから喚声が上がり、祝福の言葉が私たちに囁かれた。夫が喜びの声を上げ、私は感極まり、泣きじゃくった。
夫の声援が支えになった
無事に赤ちゃんが産まれ、その愛らしい姿に私たち夫婦は幸せでいっぱいになった。赤ちゃんを抱っこし、ただただ安堵と喜びの涙が止まらなかった。
振り返れば、あの最後の助け船となったのが夫の力強い声援だった。あの勇気づけられた声が、私の心に最後の力を呼び覚ましてくれたのだ。
ぎりぎりの所で、夫の言葉が私の支えとなった。それが私の力を奮い立たせ、赤ちゃんを無事にこの世に導いてくれたのだと実感した。
あの分娩室に響いた夫の声援は、私には一生の宝物となった。決して忘れられない思い出であり、夫との絆を強く結びつける出来事だったのは間違いない。
これからも声援を期待
この経験から、私は夫の存在の大きさを学んだ。妻よりもむしろ、父親となる夫の役割のほうがはるかに大きいことに気づかされた。
これからは育児の面でも、夫に大きく期待したいと考えるようになった。そしてお互いに支え合い、語り合い、声援し合うことができる夫婦でありたいと願っている。
出産は妻だけではなく、夫をはじめとする家族総がかりの出来事だ。そう実感させられた出産体験は、確かに並々ならぬ壮絶なものだった。
しかしそんな出産を乗り越えられたからこそ、家族としての絆が一層強くなったとも言えるのではないだろうか。
そしてこの先、育児で逆境が訪れた時にも、夫の力強い声援が私の支えとなってくれると信じている。声援によって、どんな困難も乗り越えていけるはずだ。
出産という一大イベントを経て、私たち家族は確かに成長した。これからも助け合い、支え合う関係を大切にしながら、子育ての毎日を過ごしていきたい。
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