「母子手帳のお守り力」中にはこんな想い出が詰まっていた
母子手帳を最初にもらった日
母子手帳を手にしたのは、妊娠5ヶ月の健診の時だった。まだ小さなお腹だったが、中にはもう小さな命が宿っているという実感があった。
受付で名前を告げると、緑色の小さな冊子を渡された。「母子手帳」の文字が銀色で書かれていた。何でこんなに小さくて薄いのだろうと不思議に思った。
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「これが母子手帳なんですね」と受け取った時は特に感慨もなかったが、その後、母子手帳が私の大切な”お守り”となっていくことになろうとは夢にも思わなかった。
母子手帳には様々な記録が
毎月の診療記録が母子手帳に記入されていった。最初は簡単な記録だったが、徐々に詳しいものになっていった。
赤ちゃんの発育状況、体重の変化、血液データ、心拍数、胎位などが記されていく。医師からは普通の状態か、異常がないかをチェックされていった。
また、妊娠の週数ごとに役立つ情報が載っており、気をつける点や注意事項を読み進めながら、めくるページごとに本格的にお母さんを意識するようになった。
そして出産が近づくにつれ、母子手帳に予定日が記入され、いよいよが近づいてきた。手帳を見る度に胸が熱くなる想いだった。
あれほど小さくて何気ない母子手帳が、私にとって大きな存在になっていく過程がそこにはあった。
母子手帳に込めた願い
出産当日、母子手帳を持参して病院に向かった。受付で見せると、すんなりと入院の手続きを済ませられた。
陣痛室に移り、本格的な陣痛が始まる度に手帳を見返した。そこには今までの経過が記されており、安心感があった。
そして赤ちゃんが無事にこの世に生を受けた。母子手帳にその日時と体重、身長が記入された。命の証として、母子手帳に記された一言一句がいつまでも私の宝物となった。
また、予防接種のページには、次々と済みを付けていった。赤ちゃんの成長記録が母子手帳に記されていく度に、胸が高鳴った。
そして1歳を過ぎた頃、母子手帳への書き込みはほぼ終了した。母子手帳に込めた、健やかに育ってほしいという願いが着実に叶えられたのだと実感した。
母子手帳が繋いだ絆
母子手帳にはまた、スタッフの方々の暖かい言葉や励ましの言葉が書き記されていた。
出産を間近に控えた時期、担当の助産師さんから「頑張れ!最後まで一緒に頑張るから」と声をかけられ、それが手帳に記された。
また、頻繁に問診を受けた産婦人科の先生や看護師さん、そしてスタッフの方々の名前が手帳にいくつも出てきた。出産を手伝ってくれたスタッフ全員の名が手帳に記されていた。
母子手帳に残されたそれらの言葉や名前を見る度に、たくさんの人々に支えられ、お世話になったことを実感した。一人の母親として、まさに特別な体験をさせてもらったと心から感謝の気持ちでいっぱいになった。
赤ちゃんの成長記録以外にも、こうした想い出が母子手帳に残された。まさに母子手帳は、愛する我が子と私を繋ぐ、かけがえのない存在となったのだ。
次の世代への宝物として
あれから10年以上が経った今でも、折に触れて母子手帳を開いてみる。そこにはかけがえのない思い出が詰まっていた。
最後のページを開くと、そこには子育ての思い出や子どもの成長の様子が記されている。10代の我が子は、もうすっかり大人の体つきとなった。
子どもに手渡す日が来たら、きっとこの母子手帳を大切に渡そうと思う。そして母親となったその日に、この想い出の詰まった母子手帳を、大切な宝物として受け継がせたいと考えている。
この小さくて何気ない母子手帳が、私とわが子の絆を強く結び付けてくれたような気がする。それはきっと他の母子にもいえることなのだろう。
母子手帳は、お母さんたちの想いや喜び、そしてわが子への愛情が詰まった、かけがえのない宝物なのだと実感する。この”お守り”のようなものを、次の世代へとつないでいきたい。
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